コレクション: VAQUERA

完璧であり破綻しているということ


未来に対する固定観念を捨てること。ブランドの根底にある服が持つ変革の力を提示してきたVaqueraは、FW26において自身そのものの変革を図る。

「強く抱きしめ、軽やかに手放す」

今期提示されるのは、完璧さとカオスが隣り合う独特の空気感だ。歪みを加えたモッズ、ひねりを効かせたマダム、抽象化されたレザー・ダディ。一見アンバランスなキャラクターたちが並ぶランウェイから、ひとつの問いが浮かび上がる。

心が破綻したままでも、服は完成し得るのか。

これから必要になるのは、綺麗に整えられた未来の服ではなく、不完全な「いま」を受け止めてくれる一着かもしれない。

VAQUERAは、2013年にパトリック・ディカプリオとブリン・タウベンシーらによりニューヨークで設立されたブランドである。彼らは「ファッション・ファンフィクション」と称し、DIY精神とポップカルチャーを反骨的かつシュールに昇華させた衣服を展開する。

2026年春夏コレクションは、混沌とした時代において、ファッションを通して自己と他者に喜びを届けるという理念をコレクション全体で体現した。ブランド初期の演劇性と興奮に着想を得て、ノスタルジックでありながらも未来志向のコレクションを展開している。