【東園基昭の「一粒万倍日記」2026.1.13.】

【東園基昭の「一粒万倍日記」2026.1.13.】




第六回目
『人情の道しるべ』

 お正月から早くも二週間が経ち、朝の通勤ラッシュに揉まれると世の中は平日に戻った感じが湧く。
 満員電車では全く知らない人々が間近にいて、まるで寄せ鍋のようであるが、不意にもしかしたら隣にいる人といつか何かの関係になったりするのではないかと思うと、少しスペースを作ってお互い楽な距離感を保ちたくなる。
 芸術においても「ものとの距離感」はとても重要であり、それがないと言葉では言い表せない気持ちや思いが伝わらない。
 考えてみると「友達」にもいろいろなタイプがある。
 親友やクラスメイトなど様々だが、中には「茶友(さゆう)」という言葉があり、読んで字のごとく「茶飲み友達」を差し、転じて「なんでも話せる気軽な間柄」を意味している。
 親友とはまた違った距離感があり、年齢や性別、国籍や仕事ではなく、たまに顔を合わせる仲なのに何となく居心地良い友人のことを言う。
 語源である中国ではニュアンスが違い「尊敬して一生付き合う友達」だそうだ。
 由来は昔からお茶が貴重なものとして扱われてきた背景があり、求心性の高い茶に込められた深い意味合いが伝えられている。
 考えてみると茶道では年始の行事である「初釜」の時期であり、久しぶりに顔を合わす方々を温かな茶の湯でもてなし、ご挨拶したりいろいろと会話を楽しむ風習は、まさに人と人の見えない距離感を表しているように感じる。
 広いようで狭い世の中、これからの出会いにも様々な期待がもてる


東園基昭 拝


Back to blog