TOP

【東園基昭の「一粒万倍日記」2026.10.1】

【東園基昭の「一粒万倍日記」2026.10.1】

《タイトル》 「月桂(げっけい)」《サイズ》P4号(333 × 220mm)《作品内容》お月見だんごのシルエットに、うさぎと花唐草、千鳥に波と瑞雲、月に秋草紋様。 第四十三回目『集う時間を、やわらかく』 「居住まい(いずまい)」は、座っているときの姿勢や態度を指す。立ち姿の雰囲気をいう「佇まい(たたずまい)」に対し、居住まいは座った姿に使い、人にのみ用いる。「居住まいを正す」の通り、自分の意識で整えられるのが特徴である。能でも、まず「構え」という基本の姿勢から稽古が始まる。 その居住まいが整った人のそばは、不思議と「居心地」が良い。居心地とは、その場にいるときの気分やぐあいのことである。たとえば、家具の配置や動線が自然な部屋のように、相手を否定せず、沈黙や距離を大切にしてくれる人が、その心地よさを作る。心理学者エドワード・ホールが「パーソナルスペース(人が心地よいと感じる対人距離)」を論じたように、近すぎず遠すぎない間合いが安心を生む。 居心地が良いと、人の心は自然と「和む(なごむ)」。和むとは、緊張がほぐれて心が穏やかになること。温かいお茶を飲んで、ほっと息をつく場面を思い浮かべてほしい。似た言葉に「和らぐ(やわらぐ)」があり、こちらは痛みや寒さ、怒りなど強かったものが弱まることをいう。「新涼」(秋のはじめの涼しさを表す季語)の頃、残暑が和らぐのがそれだ。和むは心や場の空気、和らぐは程度の変化。整った居住まいは、まず場の張りつめた空気を和らげ、やがて人の心を和ませる。 絵を描くとき、私はどんな絵を描くかだけでなく、その絵をどんな環境に置くかも考える。立派なお城のような部屋に飾られる姿や、その絵の前で生まれる一期一会の出会いが良縁につながる様子を思い描きながら、筆を進めている。(一期一会は、「この出会いは生涯に一度」と心を尽くす考え方) 絵の前で場がふっと和むとき、出会いは良縁へと育っていく。 だからこそ「会(かい)」は大切だと思う。会議や展覧会、舞台、祝いの席。昔は今ほど移動も連絡も便利ではなく、人が集まること自体が貴重だった。看板に頼らず、一人ひとりが専門性や個性を活かして社会とつながる「個の時代」だからこそ、集う時間の価値はむしろ増していくように思う。和んだ場は、人が集うからこそ生まれるのだ。 背筋を伸ばし、相手が安らげる空気を作る人のそばでは、初対面の席でも、いつのまにか話がはずみ、笑顔がこぼれる。 人と会う一瞬、居住まいを整え、感謝の一言を添える。そんな小さな所作が、湯気の立つお茶のように、その場を温めてくれる。東園基昭拝

【東園基昭の「一粒万倍日記」2026.10.1】

《タイトル》 「月桂(げっけい)」《サイズ》P4号(333 × 220mm)《作品内容》お月見だんごのシルエットに、うさぎと花唐草、千鳥に波と瑞雲、月に秋草紋様。 第四十三回目『集う時間を、やわらかく』 「居住まい(いずまい)」は、座っているときの姿勢や態度を指す。立ち姿の雰囲気をいう「佇まい(たたずまい)」に対し、居住まいは座った姿に使い、人にのみ用いる。「居住まいを正す」の通り、自分の意識で整えられるのが特徴である。能でも、まず「構え」という基本の姿勢から稽古が始まる。 その居住まいが整った人のそばは、不思議と「居心地」が良い。居心地とは、その場にいるときの気分やぐあいのことである。たとえば、家具の配置や動線が自然な部屋のように、相手を否定せず、沈黙や距離を大切にしてくれる人が、その心地よさを作る。心理学者エドワード・ホールが「パーソナルスペース(人が心地よいと感じる対人距離)」を論じたように、近すぎず遠すぎない間合いが安心を生む。 居心地が良いと、人の心は自然と「和む(なごむ)」。和むとは、緊張がほぐれて心が穏やかになること。温かいお茶を飲んで、ほっと息をつく場面を思い浮かべてほしい。似た言葉に「和らぐ(やわらぐ)」があり、こちらは痛みや寒さ、怒りなど強かったものが弱まることをいう。「新涼」(秋のはじめの涼しさを表す季語)の頃、残暑が和らぐのがそれだ。和むは心や場の空気、和らぐは程度の変化。整った居住まいは、まず場の張りつめた空気を和らげ、やがて人の心を和ませる。 絵を描くとき、私はどんな絵を描くかだけでなく、その絵をどんな環境に置くかも考える。立派なお城のような部屋に飾られる姿や、その絵の前で生まれる一期一会の出会いが良縁につながる様子を思い描きながら、筆を進めている。(一期一会は、「この出会いは生涯に一度」と心を尽くす考え方) 絵の前で場がふっと和むとき、出会いは良縁へと育っていく。 だからこそ「会(かい)」は大切だと思う。会議や展覧会、舞台、祝いの席。昔は今ほど移動も連絡も便利ではなく、人が集まること自体が貴重だった。看板に頼らず、一人ひとりが専門性や個性を活かして社会とつながる「個の時代」だからこそ、集う時間の価値はむしろ増していくように思う。和んだ場は、人が集うからこそ生まれるのだ。 背筋を伸ばし、相手が安らげる空気を作る人のそばでは、初対面の席でも、いつのまにか話がはずみ、笑顔がこぼれる。 人と会う一瞬、居住まいを整え、感謝の一言を添える。そんな小さな所作が、湯気の立つお茶のように、その場を温めてくれる。東園基昭拝

NIKE - NEW DELIVERY

NIKE - NEW DELIVERY

NIKE - NEW DELIVERY

On - NEW DELIVERY

On - NEW DELIVERY

On - NEW DELIVERY