
《タイトル》
「心思(しんし)」
《サイズ》
P4号(333 × 220mm)
《作品内容》
ハートのシルエットに桃と桜、四季の花。背景にはうさぎに立花紋様
第十五回目
『待ち望む百花繚乱』
ここ数日は寒の戻りでコートが手離せない。
洋服も春夏物が出始め、気分的にも暖かな日が待ち遠しく感じる。
部屋から外を眺めれば、日差しはもう春であるが、外に出れば北風に肩を竦めてしまう。
ところで、窓に映る風景と絵画からは違ったイマジネーションが湧く場合がある。
実際の風景は何もせずとも日々刻々と変化し続けるが、絵は観る人の想像と交ざることによって動き出す。
また華道に「立花(りっか)」という室町時代に成立した最古の様式があり、多種多様な草木により大自然の風景を一瓶の中に表現しており、江戸時代には1~3種類の花材を用い、草木が地に根を張り生きる姿を表した「生花(いけばな)」が成立した。
これは盆栽や観葉植物とはまた違った風合いであるが、最大の共通点は人の手が入っていることである。
観察や研究をもとにした独自の視点からの解釈や、そのものを更に良くすると言った機能の拡充など多彩な表現方法が挙げられる。
大自然を変えることは無理かもしれないが、小さな世界に無限の宇宙を感じて、それをなんとか具現化することは出来る。
挑戦を度重ねればリアリティーがより深まり、多くの共感を招くこととなるであろう。
荒波に揉まれる海辺の岩の裂け目に群生する植物を、その環境を再現し、何世代にも渡って手塩にかけて管理しながら完璧に育てることが出来るのは人間だけである。
こうして様々な物に人の手が加わることによって、本来の姿が現れるのである。
自然の中で健気に生きる野の花も美しいが、温室で咲かせた大輪には敵わない。
東園基昭 拝